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山の会ポレポレ

Author:山の会ポレポレ
所属:大阪府勤労者山岳連盟

主に関西の山域を中心に活動している30代~40代が中心の山岳会です。
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1999年 エベレスト街道トレッキング FINAL DIARY

 
2011/10/17(Mon) Category : 山ノ想ひで
7日目、この日の目的地はカラパタールへの最後の経由地ロブチェ(4930m)だ。遂にこのトレッキングも佳境に入り、不安と緊張と興奮でいっぱいだ。今までとは明らかに違う張り詰めた空気が漂う中、早朝にペリチェをスタートした。

外枠ネパール用100

7日目 ペリチェ(4252m) ~ ロブチェ(4930m)

荒涼とした景色を両側に見ながら、大きな山合いを抜けていく。
空気が薄いせいか、何となく気持ちが落ち着かない。体が不安で緊張している。
この旅のためにわざわざパチンコ屋に足を運んでGETしたカシオのプロトレック。その文字盤に映り出された標高が10m20mと上がっていくたびに自分の体に高山病による異変が起きていないかを確かめる。

トゥクラというポイントを越えるとそこからは心臓破りの登りとなった。心臓破りといっても今まで登った辛い登りと比べたら勾配は断然緩い方だけど、それでも今までで一番歩くのがきつかった。足が重くて1歩が前に出ないのだ。それもそのはずで、この辺りの空気は平地の半分くらいしかないらしい。ここに来て空気の薄さを改めて実感する。息を吸っても吸っても空気が入ってこない。試しに息を止めても10秒がもたない(マジで)。

そしてここに来てパチンコでGETしたカシオのプロトレックを覗いてみると、表示盤には『-----』と表示されているだけで、うんともすんとも言わなくなっていた。
ガビーン・・・。
4000mを越えたこれからがこいつの腕の見せ所だというのに、こんなんじゃまったく役に立たないじゃないか。5000mを越える瞬間をずっと楽しみにしてたので結構へこんでしまったが、所詮パチンコの景品、こんなものかと自分で言い聞かせ、改めて自分がエライところに来てしまっていることを実感する。

きつい登りを歩いていると、谷の下の方から雲が立ち込めてきて、一瞬にして僕達は雲の中に。真っ白で視界の悪い中、ただ目の前のトレイルを黙々と歩いていると、只ならぬ不気味な雰囲気の場所にやってきた。

外枠ネパール用101
石が積み上げられたケルンが辺り一面無数に並んでいる。シバが言うには、これは過去のエベレスト頂上アタックで命を落としたシェルパ達の墓だという。

こんなところに墓場があるなんてびっくりだけど、無数にあるケルンの真ん中に立っていると、標高8000m以上のとんでもない山岳地で繰り広げられた冒険者達のロマンというものが、熱く僕の心にも伝わってくるような気がして、思わず手を合わせてしまう。

しばしの間ここで思いを馳せた後、標高4930mのロブチェに向けて再出発した。

ロブチェにあるロッジまではずっと霧の中を歩くといった状態。ロッジに到着すると中には、この数日間トレイル上で何度もすれ違ってすっかり顔なじみになっていた他のグループのみんなが、食堂で暖を取っていた。空気の薄さと霧による重たい雰囲気のせいで、みんな疲れきっているようだ。

僕達も用意されたベッドの上に荷物を置いて服を着替えて食堂で暖かいコーヒーを飲んでいると、シルビィとジョーのペアがようやく到着してきた。今日はみんな同じ宿のようだ。

ここに来て僕にも高山病の徴候が出てきたのか、二日酔いのような頭痛がして気持ちが悪い。夕食にはシバの勧めでガーリックスープをもらう事にした。高山病にはこれがいいらしい。食事をした後、シバが頭を揉んでくれて気持ちが少し楽になった。

さぁ、明日は遂に最終決戦の日。エベレストの神は僕達に顔を現してくれるのだろうか。情報によると午後からまた霧が立ち込めてくるらしいので、早朝まだ日が昇る前にここを出て、午前中の早い時間にカラパタールの丘(5545m)に挑戦することにした。



8日目 ロブチェ(4930m)~カラ・パタール(5545m)~ ペリチェ(4252m)

翌日、まだ外は真っ暗な時間。ロッジの中ではみんながごそごそと起きだして、荷物をまとめている。そして誰かが叫んだ。

  『おい、外は満天の星空だ。雲なんてひとつもないぞ!!』

そのとたん、まだ半分眠ったままだったはずのみんなは喜びの悲鳴を上げて、急いで準備をし始めた。僕も急いで荷物をまとめて出発。外はうっすらと夜が明けだしている。
今日はいつになく空気が冷たいが、気持ちが引き締まってちょうどいい。気持ちが高ぶっているせいか、高山病の頭痛も全然気にならなかった。

外枠ネパール用102
僕達の前を歩くカナダ人グループ。彼らとは2日前くらいからトレイルでよくすれ違っていたので覚えていた。というのもその中の中国系の女の子がかわいくて気になってたのだ。この日は同じ時間にアタックだったので、何と一緒に歩けることに!話をしてみると、すごくいい子だった。(恋の発展はありません)
     キャノン外枠タテ500
目の前に現れたのは僕たちが目指してきたカラ・パタールの丘。この丘の頂からエベレストを見ることがこの旅の最終目的だ。そしてその後ろにそびえるのがプモリ(7162m)。何とも美しいシルエットだ。すでにこの丘の頂上を目指して数組のグループが前を歩いている。

外枠ネパール用104
この丘、遠くから眺めるとそれほどたいした事は無い小さな丘だと思っていたら大間違いだった。歩いても歩いても頂にはたどり着かない。あまりにも大きすぎて距離感がつかめない。


そして、どれだけ時間が過ぎたんだろうか、遂に遂に到着した。

     「やった…!やったー!!!」

そして目の前には・・・
  外枠ネパール用110
天高くそびえる神の山エベレスト(8848m)が僕たちを祝福してくれていた!!眩しかった。


外枠ネパール用103
やっぱり、この丘のピーク(5545m)から見えるエベレストは格別だ。これほど大きなものを見ると、神を感じずにはいられなくなってしまう。
どうしてこんな所に来てしまったんだろう。あの変な夢さえ見なかったら、僕はこんな所に一生来ていなかったはずだ。何か目に見えないパワーが僕をここに呼んだとしか考えられない…。

ここでエベレストを見上げながら、少しの間いろいろなことを考えこんでしまった。自分のこと、家族のこと、友人のこと、日本のこと、そして世界のこと…。

ふと気が付くと、下の方からまた雲が湧き出してきた。

キャノン外枠タテ501
僕達一般素人が行けるのはここまで。これから先は鍛え抜かれた冒険家達しか入ることが許されない。そこにはいったい何があるんだろう。まだ3000m以上も上の世界の話だ。

「じゃぁ帰ろうか」
僕はおそらくもう2度と来ることがないだろうこの世界をおりる事にした。

外枠ネパール用106

この日はペリチェにある姉妹の宿まで下り、翌日にはナムチェバザールまで一気に下山した。
遥か天空から下りてくると、このナムチェバザールがどれだけ都会かというのがわかる。電気もあるしシャワーもある。この街に唯一あるベーカリーで、シルビィとジョーは「ずっとパンが恋しかったのよー。あぁ、おいしいわぁ」といって、カウンターに豊富に並べられた手作りパンに食いついていた。やっぱ西洋人なんだなぁ。きっと僕達が味噌汁を恋しくなるのと同じなんだな。


その後僕達は2日かけて、最初に飛行機で降り立ったルクラまで行き、そこからまたぼろぼろセスナでカトマンドゥまで飛んだ。
すっかり仲良くなって、僕のお姉さん代わりとなっていたシルビィとジョーとは、ルクラへの帰路の途中でお別れとなった。2人はそのまま歩いてルクラからさらに下にある町でバスに乗り、また次の旅へ向かうということだ。もう彼女たちと会うことは2度とない。笑顔でハグをしたけど淋しくて仕方なかった。

カトマンドゥに戻った僕は、それから4日ほどネパールを旅して日本に帰った。


下山 9日目 ペリチェ(4252m) ~ ナムチェバザール(3450m)
下山 10日目 ナムチェバザール(3450m) ~ ルクラ(2700m)
下山 11日目 飛行機にてカトマンドゥへ



〈その後の話〉
翌年、ネパールの旅で撮り溜めた写真を見た友人が、「自分もどうしても行きたい」というので、男2人女1人でネパールに再度行くこととなった。山岳地域には行かなかったが5日間くらいの旅程で、またTREKKING TEAMに宿の手配をお願いしてカトマンドゥの街を楽しく周った。

シバにまた会えると期待していたが、彼はちょうどどこかの山にガイドとして行っているとのことだった。なぜか自分一人だけが取り残されてしまった気がして寂しい思いがする。

初めて訪れる辺境の都市ネパールにすっかり気持ちが舞い上がっている友人達の横で、遠くの山の方をぼんやり眺めていた自分を覚えている。


世界にはいろいろな人、自然、文化がある。僕はエベレスト街道を歩いて、登山を楽しんだだけではなく、もっともっと大きくて大切なものを感じることが出来た、そんな気がする。そして、この旅のことは10年以上たった今でもまるで昨日の出来事のように覚えている。

外枠ネパール用108






ここまでお付き合いありがとうございました。すっかり長くなってしまいましたが、僕の青春時代エベレスト街道の全記録でした。


Take-C  (スッキリしたーっ)
 
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